
Googleが2025年3月に発表した最新AI「Gemini 2.5 Pro」が大きな注目を集めています。回答前に内部で思考プロセスを踏む「思考型モデル」として設計され、数学や科学、コーディングなど複雑な問題解決能力において競合モデルを凌駕する性能を誇ります。
100万トークン対応の長文脈処理能力やネイティブマルチモーダル機能など、従来のAIを超える可能性を持ったGemini 2.5 Proについて、機能や使い方、料金体系まで徹底解説します。
目次
Gemini 2.5 Proとは
Gemini 2.5 ProはGoogle DeepMindが開発した最新の生成AIモデルで、最大の特徴は「思考型モデル(Thinking Model)」として設計されていることです。回答を生成する前に内部で推論を重ねて、精度と正確性を大幅に向上させています。
「思考型モデル」というコンセプトは、単に学習したパターンから文章を組み立てるだけでなく、人間が問題を解決するように情報を分析し、論理的な道筋を立てて結論を導き出す能力を持っています。たとえば、従来のモデルは「17 × 24」という計算問題を与えられると、過去の学習データから「17 × 24 = 408」というパターンをそのまま返すか、誤った計算をしてしまうことがありました。一方、思考型モデルは「17 × 24 = (10 + 7) × 24 = 240 + 168 = 408」というように、計算の過程を踏んで答えを導き出します。
この「考える過程」を取り入れることで、より複雑な問題や未学習の問題に対しても適切に対応可能になったのです。
2025年3月25日に発表されたこのモデルは、GoogleのAI戦略において重要な位置を占めており、OpenAIやAnthropicなど競合他社の最新モデルに対する回答として登場しました。将来的にはすべてのモデルに思考能力を組み込む方針であることからも、Googleの次世代AI戦略の中核をなすモデルといえるでしょう。
Gemini 2.5 Proの主要機能と特長
ここでは、Gemini 2.5 Proの機能と特長をみていきましょう。
高度な推論能力
Gemini 2.5 Proの最も際立った特徴は、優れた推論能力です。回答を生成する前に思考プロセスを経ることで、複雑な問題に対しても精度の高い解決策を提供します。推論能力が強化されたことで、多段階の論理的思考が必要な数学問題や、前提条件から結論を導く必要がある科学的な問題に強みを発揮します。
LLM(大規模言語モデル)評価のコミュニティが運営する「LMArena(Chatbot Arena)」では、Gemini 2.5 Proが最上位の座を獲得し、他の競合モデルに大きな差をつけてリードしています。

ネイティブマルチモーダル機能
Gemini 2.5 Proは設計段階からマルチモーダル処理(複数のデータを同時に処理する能力)を前提としています。テキスト、音声、画像、動画、コードなど、多様な形式のデータを統合的に理解・処理することが可能です。視覚的推論能力を測るMMUUベンチマークでは81.7%、画像理解を評価するVibe-Evalでは69.4%というスコアを達成し、マルチモーダル処理における優位性を示しています。
100万トークン対応の長文脈処理能力
Gemini 2.5 Proは100万トークン(近い将来には200万トークンに拡張予定)という圧倒的な長文脈処理能力を持っています。100万トークンとは、一般的な書籍の約2,000ページ分に相当し、膨大なテキストデータや複数の文書を一度に処理することが可能になりました。
長文脈理解力を評価するMRCRベンチマークでは、128kコンテキストで91.5%、1Mコンテキストでも83.1%という高いスコアを達成しており、大量のデータを処理する能力の高さを示しています。
Gemini 2.5 Proの料金体系
Gemini 2.5 Proの利用には、無料オプションと有料オプションが用意されています。Google AI Studioでは、一定の利用制限内であれば無料で試用することが可能です。無料版では、API呼び出し回数やトークン処理量に上限が設けられていますが、基本的な機能を体験するには十分な量が提供されています。
本格的な開発や大規模な利用には、有料プランへのアップグレードが必要です。一般ユーザー向けには、Gemini Advancedが月額約2,900円(2025年3月時点)で提供されており、Google One AI Premiumプランの一部として利用できます。このサブスクリプションには、Gemini 2.5 Proへのフルアクセスに加え、2TBのクラウドストレージなどの特典も含まれています。
API利用の詳細な価格設定は、記事執筆時点ではまだ発表されていませんが、近日中に公開される予定です。一般的に、処理されるトークン数に基づく従量課金制が採用されると予想されます。開発者は無料枠を活用して試験的な開発を行い、本番環境への移行時に有料プランを検討するという段階的なアプローチが可能です。
Gemini 2.5 Proの利用方法
Google AI Studioを通じてGemini 2.5 Proを利用する方法は比較的簡単です。まず、Googleアカウントを使用してGoogle AI Studioにアクセスし、サインインします。

ダッシュボードにアクセスしたら、左側の「Create Prompt」をクリックしましょう。その後、右側メニューの「Model」から、「Gemini 2.5 Pro Experimental」を選択します。

モデルを選択したら、画面下部の検索バーからプロンプトを入力できるようになります。
ちなみに、必要に応じてパラメータを調整することもできます。Temperatureを下げると一貫性のある回答が、上げると創造的な回答が得られます。

Google AI Studioは、無料版とは思えないほど高機能です。ぜひ、Google AI StudioでGemini 2.5 Proを体験してみてください。
Gemini 2.5 Proの活用法
ビジネスでの活用
Gemini 2.5 Proの推論能力と長文脈処理能力を活用することで、複雑なビジネス戦略の立案や意思決定プロセスを効率化できます。市場調査レポート、競合分析、財務データなど大量の情報を一度に処理し、包括的な視点から戦略的提言を生成することが可能です。
例えば「新規市場参入のリスクと機会を分析してください」というプロンプトだけで、市場データや競合情報を基にした詳細な分析と提言を受け取れます。従来なら数日かけて行っていた分析を、数分で概説できる点が大きな強みです。
金融機関や投資会社では、複数企業の四半期報告書を同時分析し、業界トレンドや投資機会を特定するといった高度な分析タスクにも対応可能です。データに基づいた意思決定の質とスピードを向上させる強力なツールとなるでしょう。
複雑なコーディングでの活用
コーディング分野においても、Gemini 2.5 Proは優れた能力を発揮します。アルゴリズムの開発から大規模なリファクタリング、バグの特定と修正提案まで、様々なコーディング関連タスクを支援します。
コード編集能力を測る『Aider Polyglot』では、whole評価で74.0%、diff評価で68.6%を達成しており、主要な競合モデルを上回る結果となっています。エージェント型コーディング評価であるSWE-bench Verifiedでも63.8%を記録しており、実践的なコーディングタスクにおける有効性を示しています。
また「この機能を実装するコードを生成して」とシンプルに指示するだけではなく、「以下のコードベースに新機能を追加し、既存機能と整合性を保ちながら最適化してください」といった複雑な要求にも対応可能です。
教育・研究分野での活用
教育や研究分野では、膨大な文献や資料を横断的に理解し、知識の統合や問題解決などの知的支援ツールとしての活用が期待されます。100万トークンの長文脈処理能力により、教科書や学術論文、研究データを包括的に分析し、必要な情報を整理して提供することが可能です。
例えば、研究者は関連文献全体をGemini 2.5 Proに読み込ませ、「この分野における最新の発見と未解決の課題を要約して」と依頼することで、膨大な情報から本質的な洞察を短時間で得ることが可能です。また、複数の研究手法の比較分析や、異なる理論間の関連性の探索などにも活用できます。
また、学生にとっては、難解な概念の説明や複雑な問題の解法をステップバイステップで教えてくれる家庭教師の代わりとして活用可能です。さらに、マルチモーダル機能を活用すれば、図表や画像と組み合わせた総合的な学習支援も実現できるでしょう。
まとめ
今回の記事では、Gemini 2.5 Proについて解説しました。Gemini 2.5 Proは、高度な推論能力、ネイティブマルチモーダル対応、100万トークンの長文脈処理能力を備え、複雑な問題解決から大規模データ分析まで幅広い用途に対応可能です。
AIの進化がますます加速する中、Gemini 2.5 Proは「考えるAI」という新たなモデルとして、私たちの働き方や問題解決アプローチに変革をもたらす可能性を秘めています。積極的に活用し、その可能性を探求してみることをおすすめします。
Google AI Studioを通じて無料枠での試用が可能なので、ぜひ一度Gemini 2.5 Proを体験してみてください。


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